本部役員にスカウトされる。(2)
やらないほうがいい、と言われれば言われるほど、やりたくなってしまう。
人間の心理って不思議です。
「エリママさんにPTAの役員やらないかって誘われた」
夫にそう話すと、
「いやいや、冗談でしょ?」
と、最初はまともに取り合ってくれませんでした。
メンタルクリニックの主治医には
「それはどうにか逃げたほうがいいですね~」
と言われ、友人には
「えー絶対大変だよ!やめときなって!」
と言われました。
(メンタルの主治医については私の体調うんぬんというよりも、ご自身の経験談を延々と語っておられた感じですが…)
やはり、「PTA役員になる」というのは世間一般からするとかなり厄介なイメージがあるようです。
さて、あれから数日後、私はPTA室を訪れました。
「わざわざお越しいただきありがとうございます」
エリママさん含め3人の役員さんが出迎えてくれました。
雰囲気はそれほど堅苦しいわけでもなく、保護者同士のトークの延長みたいな感じでした。
「上のお子さんで、すでに委員をしていただいてはいるんですけれども…下のお子さんが来年入学されるということで、是非本部の役員を引き受けていただけませんか?」
「はぁ…」
こちらの小学校のPTAには「子ども一人につき一回」という原則があるのですが、実は特例があります。
複数の子どもが在学中に本部役員を一年でもやれば、それ以降の活動は免除されるというものです。
(役員は委員に比べかなり負担が大きいため、というのが理由のようです。)
つまり、長女の分で委員をしてしまっているので、「特例を生かす」という点では本部役員をするメリットはないわけですが、それでもやってもらえないか?ということです。
その後は活動内容の詳細説明があったり、こちらの状況(仕事をしているか?パソコンは使えるか?など)を尋ねられたりしました。
私は、うつ病持ちであることを正直に話し、あまり負担が大きいと体調を悪くしてしまう可能性があることを話しました。
役員さん側からは、無理のない範囲での活動で大丈夫ですので、と言われました。
そして最後には、
「役員の活動にはご家族の理解が不可欠ですので、おうちでご相談の上お返事くださいね。」
と。
帰り道、いろいろ考えました。
PTA役員。
私にできるのだろうか?
不安要素はいろいろありました。
委員として、ほんの少しですが本部役員さんの仕事を見てきたわけですが、きっと私の知らないところでも、もっともっと多くのお仕事をされている。
私の能力で、私の体力でやっていけるのか?
しかし、そんな思いがありつつも、やはり必要とされたことが嬉しい自分もいました。
そして「やってみたい」という気持ちが芽生えてきたのです。